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納涼体験! しのびよる“恐怖”を探る

駅までの道のり、街灯が途切れて、急に薄ッ暗くなるところがある。前から来るのは若いサラリーマン…飲んできたらしく、大股で投げやりな足音を立てている。ケイトリンは男を避けるように、でも気づかれないように、心もち脇に寄り、すれ違う。

ゲボッ!!」…男は大音量でゲップをした。軽く飛びのいてしまったケイトリンに気づいたかどうか…ヤツはますます気持ち良さそうに、バタンバタン歩いていった。こないだのモッズ・ヘアの勤労青年以来、“お化けよりも人間が怖い”と感じる今日この頃なのである。

ケイトリンにとっての田舎は、ママの実家の長野である。山間(やまあい)の村で、昔話や伝説が、今も息づく土地だ。ケイトリンも小さい頃から、“お化けと人が交錯するような不思議な話”をたくさん聞いている。

「今朝吉おじさんはヘビを捕まえるのが好きで、イタズラばかりしていたら、呪いがかかって高熱を出した」。このおじさん、お祓いをしてもらって快癒したらしいが、その後は改心して、ヌードカレンダーの収集に精を出したということである。金歯や金の指輪も大好きな人だったな…。

「どしゃぶりの夜中に窓に向かって、何度もモノを投げる者がいる。外をうかがっても誰もいなかった。朝見てみたら、桃の種がたくさん落ちていたが、アレはタヌキのいたずらだろう」。国道沿いに建つ家だから、いたずらがあってもおかしくないけど、桃の種とは…本当に“タヌキの仕業”かもしれない話である。

「墓場でかくれんぼをしていたら、白い大きな布がフワフワ浮いていた」。コレは実は、ケイトリンの目撃談である。8歳くらいの夏休み、いとこ2人と遊んでいたときのことだ。2人が隠れ、ケイトリンが探していると、墓場の真ん中あたりでシーツのようなものが浮かんでいるのが見えた。いとこがふざけているのかと思った。

「大きな布が飛んでたよね?」、「そんなのナイよ」…ふたりは何も持っていなかったし、全然違う方角に隠れていた。子供だったので、「ふーん」で済んでしまったが、あれは何だったのだろう。

オットーは自分がお化けみたいだからかどうか知らないが、怖いものなんて何にもないそうである。「科学がイチバンさ」…でも、一度だけ「アレはおかしかった」と言う話がある。会社で泊まりの仕事をしていたときのことだそうである。

会社の1階は、エレベーターホールが中心にある。周囲は玄関を起点にグルリと窓がめぐらせてあって、その窓の下がベンチになっているそうだ。日中は明るい光が入るので、そこでおしゃべりをする人も多いとか。

あの日のオットーは夜食を買い、エレベーターを待っていた。社内にはほとんど人がいないので、ホールの小さな明かり以外は真っ暗にしてある。「ん?」…窓のほうに目をやると、人が座っている。シルエットでしか分からないけど、多分男性だ。膝にヒジをつき、頭を軽く下げてうなだれている。

本当に人がいたのだと思う。でも、何だかヘンだ。「夜だから暗闇に目が慣れているはずなんだけど、輪郭がはっきりしないんだよ。ぼんやりとして。あと、“人がいる”って感じが全然しなかったんだよね」。少し寒くなって、オットーはエレベーターに乗りこんだそうである。

どの話も、“ソレ、お化けだね!”って言い切れない。でも、だからこそ、想像する隙間に恐怖が忍び寄るのかもしれない。昔は怪談におびえたが、今は何の予兆もなく起こる現象、「何かヘンだ」っていう、“自覚を揺るがす「ゆがみ」”におののく。大人になるといろいろな感覚がにぶるというけれど、“恐怖”については、まだまだ開拓の余地があると思うのである。

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