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「フランスのロゼ」と「キンキン」の相性

モノを売る人っていうのは、それなりにそのモノのイメージに合う人のほうがいい”…あるデパートのアルコール売り場に出かけたとき、しみじみ思ったのだ。

都下の駅ビルにくっついてるようなデパートでも、最近はゼイタクになった。“生鮮食品は地産地消!ブランドものもありますよ!”ってことなので、お値段も覚悟が必要なくらいだ。でも、あの日は運よくお買い得な「路地ものバジルの大袋」(198円也)を見つけてご機嫌だった。

“今日はナスを敷きつめたトマトバジルソースのグラタンにしよう、あとはササミを黒胡椒焼きにしてと。ヨシ、ワインを買うか”…ケイトリンは毎朝目覚めた瞬間から“今晩は何をこしらえて、何を飲もう”と思う。晩酌に向かってまっすぐ生きているので、こういう段取りがいちばん楽しい時間だ。

で、アルコール売り場に行くと、問題の人物がいたのだ。プレミア焼酎や大吟醸、ソムリエの選んだ高級ワインがひしめくなかに、ガラガラ声が響き渡っていた。八百屋かと思った。「コレね、普段はもっと高いんだから。今日しかないんだから」、「あんたね、ソッチより、コッチのほうが絶対イイって」…何という押し付けがましさ! 離れたところでそっと見ると、前髪をカーラーで立てたソバージュ(!)の濃厚メイクのオバさんだった。

分かってる。外見ですべてを判断しちゃいけない。でもあのオバさんは、地元スーパーでポークビッツを売る人で、桜色のロゼを売る人じゃない。みんな分かってくれると思う。

ああっ、でもケイトリンの悪いクセ! オバさんの試飲カップに惹かれ、近づいてしまったのだった。ロック・オン! オバさん始動である。「辛口で美味しいでしょ。これ、フランスだから」…“このオバさんからは買いたくないが、ワインは美味い。どうしよう~”。値段を見ると1300円、買っちゃえる額である。でもこれから冷やして間に合うかと思い、いつも通りの質問をぶつける。「あのお、コレ飲み頃温度ってどのくらいですか?」。

オバさんは見るからにたじろいだ。“あっ、やばい(知らないか)”と思った瞬間、見事な返しが来た。「コレ、すぐ飲むの?」、「はい」、「じゃあ、すぐ冷やして」、「えっと、どのくらい冷やせば…」、「キンキンキンキンがいいの」…温度は無視だけど、臨機応変な対応がベテランの域である。

このとき買ったロゼは昨日、飲み終わった。淡いピンクと繊細な味わいはとっても良かったけど、ケイトリンにはあのオバさんとキンキンつながりの愛川欽也が残像のように、頭から離れないのである。やっぱり、フランスのロゼには、型どおりの美しい憧れが欲しかった…。酒の売り子さんにこんなに思いを馳せたのは、初めてである。

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