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2008年3月

ファラウェイ・マウンテン式“自意識満足トレーニング”

ケイトリンは自意識過剰なので、常に人にどう見られるかを気にする。でも、「あたしのコト、どう思う?」なんて聞けるほどの自信はないので、グジグジと意味のない思考を繰り返してしまう。その発露はひとり言になるのだが、自分で発したフレーズにビックリすることもしばしばである。オットーによると、「もー、やだぁっ!!」がダントツ1位で、以前は飛び上がるほどビックリしたそうだ。でも、最近はそのモノマネをしてくれちゃうくらいなので、すっかり慣れてしまったんだろう。

いずれにしろ、ケイトリンの自意識を満足させる高度な技術が、オットーには求められている。「あたしのドコが好き?」…頻繁に繰り出されるこの質問で、随分鍛えられたハズだ。やり取りの一例を挙げよう。「ケイトリンの好きなトコか。ん~。優しいトコ」。「はあ? 全然優しくないよ? それは本心から出てないね」。「じゃあね…(“ケイトリン優しい説”をあっさりあきらめるオットー)、オレの面倒をみてくれるトコロ」。「…なんか全然嬉しくないなー」。

だいたいオットーの返しはワンパターンで、「優しい」以外には、「料理が上手」、「やわらかい」、「イイ匂い」など、女心をくすぐる技巧がみられない。一度など「顔が可愛い。目と目がくっついてるけどね」などと余計なコトまで付け足して、大いにケイトリンの不興をかったのである。

“じゃあ、どんな答えが理想的なの?”と思われるだろうから、ここで素晴らしい模範解答を紹介しよう。このブログをよく読んでくれる、ゴールドストーン夫妻の旦那さまから伺った話である。

「奥様のどこが好きですか?」。「そうですねー。小さなものを大事にするトコですかね。例えば、消しゴムの小さくなったやつとかうまくくっつけて、また使えるようにしたりとかね。チビた鉛筆もポイっと捨てたりはしないんです。モノを大事にする姿勢とか、スゴイと思います」。

まず、なんと素敵な奥様なのだろう。パートナーの人となりをキチンと捉え、人に伝えられるゴールドストーン氏も素晴らしいし、実にうらやましく思った。そこでケイトリンは帰宅するやいなや、オットーに詰め寄った。「ねええ~。ケイトリン、こういう回答がイイんだよおお~」。そのとき、オットーがどんな返答をしたかは覚えてないので、おとといゴールドストーン氏に会ったとき、その話を持ち出してみた。

「あ、そういう話、したことありますねー。すっかり忘れてました」。「でも、素晴らしくて感動したんですよ」。「いやいや。ハハハ」。「ちょっとー! ゴールドストーンさんが、そういう話をするもんだから、コチトラ、困ってるんですよ。どうにかして下さい!」…モチロン、最後の発言はオットーである。オットーよ、今後も、ケイトリンの“自意識満足トレーニング”は続くからね。覚悟してなさい!

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昭和のオットー、亭主関白を宣言!

まだ結婚する前だから、5年ほど前のことだろうか。風邪気味のオットーに「ホットミルクを飲んで、出かけなね。体があったまるから」と言い置いて、出かけたことがあった。ケイトリンとしては、ごく普通にいたわっただけ、とくに気持ちをこめたわけではなかったのだが、オットーは非常に感激したらしい。

その日はちょくちょくコッチを見て、「ケイトリンって、優しいね」。「何がさ?!」(オットーの甘い言葉には素直に喜べない。なんかキモくて、大変恐い物言いになってしまう)。「いや、ホットミルクなんて、女の子らしいな~って。嬉しかったんだよ」。“女の子らしい”…小説に出てきそうなさりげない女性的配慮が、オットーは大好きなのだ。ただ問題は、ケイトリンが現実的な恐い奥さんであること。オットーの心の琴線に触れるような行為は、あんまりしてあげられないから、気の毒ではある。

でも、オットーは矛盾している。ケイトリンがピンクや黄色の洋服を着てはしゃいでいると、「あのさ、ケイトリンもそろそろ…ほら、30代…三十路っての? だから女の子っぽ過ぎるっつうかさ」…“普段は女の子らしさが好きなのに、女の子らしいファッソンはダメと? 少女のような優しさを保ちつつ、落ち着いた30代ファッソンを身にまとえと?”…ヤダね! ケイトリン、ヤダもんね!! オットーはやはり昭和の生まれ、古風な男だったのだ。

さだまさしの「関白宣言」という歌がある。♪俺より先に寝てはいけない~。俺より後に起きてもいけない~。めしは上手く作れ~。いつもきれいでいろ~♪ オットーはケイトリンがあまりに怠惰なとき、これを口ずさむ。反省を促すつもりらしい。でも、“オットーが亭主関白宣言”って考えただけで、涙が出るほど笑えてきちゃうんだよなー。ゴメンね、オットー。でも、♪いつもきれいでいろ~、の次の♪出来る範囲で構わないから、まで歌ってよネ。ケイトリン、ふつつかながら“出来る範囲”で、女の子らしくふるまってみせますわよ。

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賢者の贈り物 ~ママを支える愛のかたち~

ケイトリンのママが差し出したのは、合板張りの古ぼけた小箱。銀色の飾りにはやけに真っ赤な模造宝石がはめ込まれていて、素敵とは言えない代物だった。「これ何なの?」。「あたしが二十歳になったとき、Nがくれたのよ」。

蓋を開くと、「エリーゼのために」が流れ出した。オルゴール! ずっと誰も聞いてくれなかったから、少し錆びたような旋律が必死で…心が締めつけられるような感じがした。内側に張られた赤い布だけが、最初の色を鮮やかに留めている。蓋の裏側に付いたひし形の鏡は、曇りきってもう、何も映さない。

入っていたのは緑に錆びついた中学、高校、大学の校章である。“体が弱くて、ちゃんと学校に通えなかったのに”…でもやっぱり、青春時代は輝かしいものだったのだ。“あたしの知らないママ、生き生きと学校に出かけたママ”…ケイトリンはまた胸を突かれる思いがした。

「Nはこれにピンクと茶色の宝石の指輪を入れて、贈ってくれたの。ケイトリンに前にあげたでしょ」。「そう。あれか」。「本人は覚えてないって言うんだけどね、あのとき、嬉しかったあ…」。ケイトリンはオルゴールの蓋を閉めた。ママの切ない気持ちがはち切れそうで、たまらなくなったから。

「あっ、まだオルゴールかけておいて。…この曲、いいでしょう。Nの優しい気持ちが伝わってくるの。分からないかな」。ママは少し涙声、ケイトリンも泣き出しそうになった。オルゴールのねじをいっぱいに巻き直すと、今度は素晴らしいテンポで、曲が流れ出した…。

Nはママの弟である。N叔父は、就職して初めてのお給料でママに成人の贈り物をしたのである。田舎に住む青年が、多いはずのない初任給で選んだのは、美しいメロディーが流れるオルゴールと宝石の入った指輪だった。自分が思う精一杯綺麗なものを、姉のために贈ったのである。なんて、素晴らしいことなのだろう。

ママはお嫁入り道具の桐のタンスの奥に、またオルゴールをしまった。長い人生でいろいろな災禍にくじけてしまいそうなとき、こういうものこそが、また人を信じて生きていく支えになるのではないかと思う。古ぼけたオルゴールは、ママを支える愛のひとつである。

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春爛漫! コロッケとアイスは別腹ネ★

春野菜の天ぷら」…コレがお品書きにあると、必ずオットーは注文する。タラの芽やフキノトウの峻烈(しゅんれつ)な味わいが好きらしいが、天ぷらはもれなく好物なので、あまり関係ない気もする。
“春野菜”というのは、大変クセモノの表現である。ここ数回ウンザリさせられているのが、春菊にコロモがボッテリとくっついた代物だ。それこそ大皿に山盛りでやってきて、オットーなど「わあ~! スゲ~!!」という歓喜の声を上げるのだが、2つ食べ切る頃には飽き飽きしてしまう。楽しみにしていたフキノトウなどは、フニャフニャで小さいのが2コロしかなくて、とても残念なのだ。
「さすがのオレも、天ぷらはもう喰えねえ」。「春野菜の天ぷらは、もう絶対頼んじゃダメ」。つまらないコロモ腹を抱えて、シメの立ち食いソバの店へ入る。ケイトリンはいつもかけソバを食うが、オットーは券売機の前で迷っているので、「おや。春菊天ソバにしないのかね?」とイヤミを言ってやった(ニヤリ)。さらに「カツ丼なんかどうよ?」とオススメして、嫌がらせをしていたつもりだったが…しかしっ! そのときオットーは、“コロッケソバ”のボタンを押していたのである。
オットーの発言を振り返ると、確かに“天ぷらはもう食えねえ”と言ってるが、“揚げ物NO”とは言っていない。筋は通っているのである。ただ、こんなコトではマズいので、一駅手前で降りてウォーキングしながら帰ることにした。
「ヤダ~!」…疲れたとブーたれるオットーだったが、そんなハズがない。今日は起きてから“ジーパンを買って、酒を飲んだだけ”なのだ。こういうときはワーワー言っても仕方がないので、奥の手を出してみる。
アイス食べながら帰ろうよ」…オットーからOKが出た。ケイトリンのお願いだからではなく、自分の健康のためでもない。アイスの冷たい甘さのために、オットーは歩くのである。“これは、ダイエットには、ならない”…ふたりでコンビニに並んでいるときに気づいたが、“時すでに遅し”。オットーの手には、大好物のジャイアントコーンが握られていた…。

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ドルジとオットー、愛憎の図

祝!祝!朝青龍優勝!! おとといの晩、大盛り上がりで飲んでて、昨日の夜も飲んでたんで、時間の感覚がなくなってしまった。アルコールの勢いで眠ってしまうと、熟睡できないというのは研究結果でも出ていることで、よく夢を見る。昨日は…朝青龍とデートした覚えが。キャッ!! いや、何もイヤらしいコトをしたわけではないのだが、ここ最近にないトキメキを感じたので、一応、オットーに謝っておいた。

「オットー、ごめん。夢の中でだが、朝青龍とデートした…」。「ふ~ん」。「いや、ヘンなコトはしてないけど、ドキドキしちゃったよぉ~。モー!」。「ふ~ん」。“ちょっと気を悪くしたかな?”…ケイトリンが顔色をうかがっていると、オットーはこう聞いた。

「あのさ、ドネルとオレとどっちが好きなわけ?」…?。“ドネル”って何?ダレ? 朝青龍の愛称なら、“ドルジ”(本名:ドルゴルスレン・ダグワドルジ)だけど…。オットーは、最近街中で増えている“ドネルケバブ”と混同していた。ドネルケバブは肉と野菜をパンに挟んだファーストフードで、新宿や秋葉原でよく見る移動車販売のトルコ料理だ。はっきり言ってケイトリンはムカついたが、ここは夫婦円満を図るのが得策とみた。「もちろん、オットーだよ。“ドネル”じゃなくって」。

ケイトリンが怒るのには、理由がある。オットーはよく、名称を間違えるのだ。“言い間違い”っていうんじゃなく、“完全な間違い”なので、フォローのしようがない。例えば、よくあるのが“犬種の誤り”。散歩中のキャバリアがあんまり可愛いので、ケイトリンが寄って行って触らせてもらっていると、オットーが言う。「このテリア、いいですね~」。飼い主の怪訝(けげん)な顔ったらない。柴犬とブルドックを間違えるくらいの大変な誤りなのに、それを何の迷いもなく言い切るのだから、スゴイ。“よく知らないのに見切り発車”で、ケイトリンも気まずい思いをすることが多いのだ。

朝青龍=ドネルもご多分にもれず、その一例だったけど、犬に比べたら惜しいかな…。“ド”だけカスってるもんね。オットーは調子に乗って次なる質問をぶつけてきた。「じゃあさ、貴乃花とオレは?」。「そりゃ、オットーさ」…貴乃花とオットーは同い年なので、ライバルなんだそうだ。やれやれ…何となく疲れてたら、オットーはすね始めた。「どうせ、オレは優勝してないですよ!」。ちなみにもうひとりの同い年ライバルはキムタクだと聞いて、この質問は打ち止めにした。やっぱ、ドルジとオットーの魅力にはねー、キムタクもひれ伏すしかないもん。あれ、ケイトリン、ヘンかしら??

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ある凡人夫婦の死闘  ~正月執筆編~

オットーは今日も泊まりだが、頑張っているだろうか。さっきの電話では、「今回(の入稿)はビリか、ビリから2番目だなー」って言っていたけど、たいていこの2つのポジションは死守してるよね、ハニー…。とにかく、あとひとふん張りだ! 

ある正月に、一緒に仕事をしたことを思い出す。オットーはライターに頼まない原稿を自分で仕上げ、ケイトリンはグルメ記事をたっぷり書かなくちゃいけなかった。「終わったら飲みに行こうネ。さあ、競争だ~!」とか言って、お互いパソコンに向かったのである。ここから先は、オットー&ケイトリンの死闘の様子を時系列に記したので、読んでいただこう。

「15分後」…ケイトリン☆ちょっとスイッチが入ったトコ。“筆が乗ってきたゾ!”。オットー★そろそろ集中力が途切れてきた。“ん~。新しいクレジットカード、何を作ろうかな”。

「30分後」…ケイトリン☆文章の構成だけで、頭がいっぱい。オットー★仕事を忘れる。カード情報のウィンドウが、何枚も開いている状態。

「1時間後」…ケイトリン☆無我の境地。パソコンと自分の間しか世界はない。オットー★「えっと、ケイトリン。コーヒー、飲みたくない?」と聞き、自分だけ淹れる。新規カード契約について、ゆっくり検討中。

「1時間半後」…ケイトリン☆ふと我に返り、オットーを見る。「集中力、ないね~」と笑いながら、“たしなめる”。オットー★“そろそろ仕事すっか”って思う。この時、書き上げた原稿は3行くらい。

「3時間後」…ケイトリン☆筆が鈍り始める。混乱してイラつく。オットー★ちょっと頑張ったけど再度気が散り、クレジットカードの世界へ。15行くらい書き終わった。

「3時間半後」…ケイトリン☆八つ当たりしたくなる。オットーの怠惰な姿に怒り爆発。「早く終わらせて、飲みに行こうって気はないワケ?!」(結局それか)。オットー★「やるよ、やりますよ」と言う。“ホントにそろそろやらなくちゃ”と素直に思う。

「4時間半後」…ケイトリン☆だいたいメドがつく。気分が良くなって、オットーのトコに行ってしゃべりまくる。オットー★今日初めてのスイッチが入っている状態。「ケイトリン、うるさいよ」と怒る。

「5時間後」…ケイトリン☆穏やかに筆を進める。“どこに飲みに行こうかな~。フンフフンフフ~ン♪”。オットー★ダカ!ダカ!ダカダカダカ!…(ド迫力のキーボードタッチ。ノリノリ)

「5時間半後」…ケイトリン☆最後の集中。再び、無我の境地。オットー★イイ感じに書けてるので上機嫌。トイレに行くついでに、ケイトリンにちょっかいを出す。腹にパンチを食らわさられて、「DVだ!」と憤慨する。

「6時間後」…ケイトリン☆お疲れさまでした! 終わって気分爽快さ。オットー★“火事場のクソ力”で、残り3行までこぎ付ける。タバコをくわえながら、眉をしかめてパソコンに向かう。“仕事モードのオットーはカッコいい”…そんな熱視線を送られているとは、つゆ知らず。

以上、オットー&ケイトリンの“正月の死闘”のあらましである。大体分かると思うけど、ケイトリンは“人一倍頑張らないと結果を残せないタイプ”で、オットーは“頭の良さで結果を残すけど、ギリギリまで火がつかないタイプ”なのである。ケイトリンの集中力とオットーの才覚、瞬発力があれば、世界征服だってできそうな気がするんだけど、“天はニ物(にぶつ)を与えず”はホントだね。世の中はバランスよく凡人で満ちあふれてるから、平和なんだろう。

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運転手に伝わるか、“感謝”のドリンク

そろそろ雑誌の入稿時期にさしかかり、さすがのオットーも戦闘モードだ。帰ってきたのも朝9時過ぎで、「ご飯軽く食べて、すぐ寝る」と言う。いつもならペロリと平らげるBIG豆腐ハンバーグ(豆腐6に対し肉4なので、へるしー!)を半分しか食べず、何だか心配である。

帰りのタクシーに携帯を置き忘れるなんてミスも、こんな時だから起きたのかもしれない。降り際(ぎわ)に、20円の細かいお釣りが“ある/ない”のやり取りをしてたら、ついついウッカリしてしまったとのことだった。

領収書をもらっていたので、すぐにタクシー会社に連絡すると、また届けに来てくれるという。「さっき20円おまけしてもらったし、なんか悪いなー」とつぶやくオットー。“じゃあ、何かお礼の品でも”と思って、家中の食品をかき回すが気の利いたモノは何もない

「オットー、こんなんでいいかね?」…ケイトリンが苦慮した末に選んだのは、「野菜缶ジュース1000ml」、「ウコンの力」(二日酔い防止の栄養ドリンク)。正直、“もらって微妙”な品々である。1リットルの「野菜缶ジュース」をゴクゴク飲んでるタクシーに乗りたいかって言うとそうでもないし、「ウコンの力」で準備万端!ってな運転手さんも、イヤなものだろう。でも、“洋梨ジャムサバの水煮ビーツの缶詰よりは、いいかな”と、ケイトリンは思ったのである。

感謝の気持ちと20円と、“こんなんでゴメンね”の気持ちがいっぱいに詰まった二品を持って、オットーは携帯を受け取ってきた。運転手さんの反応はどうだったのだろう? 「何か、ブツブツ言ってた」…オットーの不注意をなじるような感じで、あまりいい雰囲気とは言えなかったようだ。運転が乱暴だったっていうし、ちょっと短気な人だったのかも。あの品々が火に油を注ぐことになってないと、いいんだがなぁ…。

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「Wの悲劇」 ~胡麻の怪事件~

オットーは、胡麻(ごま)が好きである。胡麻ダレ、胡麻豆腐、胡麻団子…どんなカタチになっても好きである。今朝は友人から胡麻ドレッシングが届いたので、ご機嫌で会社に出かけていった。“胡麻も粒状じゃなけりゃ、問題ないんだけどね”…ケイトリンは今年のお正月を思い出す。あれは「Wの悲劇」、1月の中旬までひっぱった難事件だった。

元旦の夜、オットーとケイトリンと犬一匹はコタツで初春を祝っていた。シーズ犬のオス「モーモー」は、たまにウチに遊びに来る可愛いヤツ。いつも大人しくて寝てばかりなのだが、ケイトリンが重箱からあるモノをつまんでいると、反応を示した。「田作り」である。

もともと煮干が好物のモーモー、サイズこそ違うが同じカタクチイワシの田作りだって大好きに決まってる。大きな目で見つめながら、前足をケイトリンの腕に乗せて「チョーダイ」をし始めた。“ま、いっか。たっぷりあるし”…次々に口に入れてあげると、美味しいらしくていくらでも食べた。

ちなみにケイトリン製作の「田作り」は、ミリンと醤油で甘辛くしたあとに胡麻がたっぷりまぶしてあるので、香ばしい。“味つけが気に入ったのかな”…そんなことを考えながらモーモーの口もとを見ると周りにシラミのようなものがびっしり! 「ギャー! オットー、モーモーに虫が湧いてるっ!」。「ええっ!?」。モーモーの首根っこをつかんで観察すると、田作りにまぶしてあった胡麻がブツブツとくっついているのだった。モーモーはすきっ歯なので、粒が小さすぎる胡麻は、口から出ちゃうんだよね。

そこから先は、のどかな正月じゃなくて、胡麻退治の場と化した。ミリンが接着剤になって全然取れない! おまけにふわふわの口毛にもぐりこんでたりして、非常にやっかいだった。それでも、ようやく一段落してオットーのほうを見ると、ソッチのコタツカバーにも胡麻が落ちているではないか。“どう見てもモーモーの陣地じゃない”…これが「Wの悲劇」の真相である。

オットーとモーモーのスペースでは、正月過ぎまでポロポロと胡麻が見つかって、ケイトリンはうんざりだった。“このひとりと一匹には絶対、胡麻団子なんてご馳走できません”…そう、心に決めた難事件だったのである。

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リンスvsガー〇ル…“ミス”コンではどっちが勝つか?!

おおむね、オットーとケイトリンは子供っぽい。う〇ちや鼻ク〇の話で盛り上がったり、ヘンな顔をして相手を笑わせるのが好きだ。…数日前の、あの朝もそうだった。

オットーは、のんびり風呂に浸かる習慣がある。でも15分以上、水音が聞こえてこないので、ケイトリンは心配になってきた。オットーはちょっと“ふくよかサン”なので、健康上のリスクがある。“ひょっとして息が止まってたらどうしよう!”って本気で心配になるのだ。

風呂をそっと覗くと、お湯の中のオットーは無事! 安心して「ねえ、変な顔して」って話しかけたのだが、オットーは急に不安そうな顔をした。そして次の瞬間、いきなり頭をかき回し始めたのだ。“モシャモシャに毛の長い犬が、オモチャにじゃれているとき、こんな行動をするな~”って一瞬観察してしまったのだけれど、それどころじゃない!

「どしたっての?! オットー!」。「いや、何かヘンでさ…。あぁ~、オレ、リンス流してないわ」。誰も共感できない、珍しい類(たぐい)の失敗であろう。でも、オットーにとっては、年に2、3回しでかす失敗のひとつだ。珍しくない

その証拠に、今日もコトは起こった。布団からオットーに「いってらっしゃい」を言って、寝返りを打っていると、玄関から「あっれ~。オレ、やっちゃったんじゃないのー?!」って声が聞こえた。「どしたの?!」って叫んだら、「危ない、危ない。リンス流し忘れちゃってたよー」という答え…ケイトリンは、そのまま眠ることにした。

洗面所から頭を流す水音が聞こえる。“ホント、信じられないな…”、寝ながら呆れていたら、今度は浴室のシャワーの音が聞こえてきた。“ああ、オットー。洗面所じゃ、リンス、流しきれなかったんだね”…「オットーには大事でも、ケイトリンには他人事」…安らかな気持ちで眠りに入ったのである。

オットーのリンス流し忘れ級のミス、ケイトリンは起こしたことがあるだろうか…ちょっと考えてみた。そういえば…出張先の鹿児島で、前日に着ていた洋服一式を忘れたことがある。それも数日経ってから気づいて、ホテルに電話したのだ。「セーターとスカート、部屋に忘れたんですが…」って言ったら、ちゃんと預かってくれていて、「ほかのお忘れ物と一緒にお送りします」とのこと。

「あれ、ほかに何を忘れましたっけ?」。ケイトリンは、スカートの下に履くガー〇ルも置いていったのだが、すっかり忘れていた。応対のホテルマンの、電話口の困った吐息! (レースのガー〇ルです”なんて言えないよね)…本当に申し訳ないことをしたなって、今も思い出すのである。

オットーもケイトリンも超ド級のミスが得意なので、楽しく生きてるようで、戦々恐々なカップルなのである。人はこれを「ファラウェイ・マウンテン夫婦は、B型カップルだからね~」と片づけるが…いかがなものでしょうかね?

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オットーが誇る「資格」の数々

オットーはいくつかの「資格」を持っているから、今日はそれを紹介しようと思う。

物こぼし的確師」:オットーは、よくモノをこぼす。それも“決まって”白や淡色のシャツに、コーヒーや醤油をこぼす。思い出すのは、ケイトリンの白いサマーニットのこと。“明日着ていこう”と椅子にかけておいたお気に入りに、オットーはジャッポリとコーヒーをこぼした。クリーニングに出したけどダメで、悔し涙を流したっけ。ただ、物こぼし的確師としての活動は、おもに飲み会シーズンなので、その時期は衣料用ハイターが必需品となる。オットーの活躍の陰で、奮闘するケイトリン…夫婦二人三脚の資格である。

玉子個数当て師」:オットーは、オムレツ、玉子焼きなどに使用された玉子の個数を当てる能力をもっている。ネギやマッシュルームとか、具が入っていない場合の的中率は驚異的である。ケイトリンはその能力を鍛えるべく、トレーナーとして毎日頑張っている。溶けるチーズや玉ネギなど、玉子と同化しやすい具を用いて、変則技への対応にいそしんでいるのである。

ゲイ&ホモ鑑定士」:オットーが前に勤めていた会社は、その道の人々が集まることで有名な「新宿〇丁目」にあった。夜食のサンドイッチをほおばりながら、溜まり場を一瞥(いちべつ)、オットーは男と女とそうでもなさそうな人を見極める才を身につけたという。(っていうか、そんなトコでモノを歩き食いする神経の太さに脱帽)。今では、向かってくる通行人を瞬時に鑑定するまでになったオットー、一緒に歩いているとすれ違いざまに耳元でささやく。「ケイトリン、今のリュックサックの二人連れ、ホモね。そんで、あっちが男役」…振り返って見れば、なるほどそういえばって思うけど、何か判断基準はあるんだろうか? 「いくつかあるけど、最後はやっぱ感覚だね」…こればっかりは正否を確かめるわけにはいかないが、“ほうれん草と小松菜、どっちがど~っち?”という質問よりは、的中率が高そうである。

ちなみにケイトリンがもつ資格は、「野良猫発見師」(遠くの屋根の上の、豆粒大の猫まで見つけることができる)くらいだろうか。人はそれぞれ、何らかの役に立たない特技をもっているもんですナ。

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お相撲とケイトリン ~青春の1ページ~

夕方の6時に近づくと、緊張で震えが来てしまう。2ヶ月のうち、15日間は毎日そうなる。「あぁ、神様ぁ~!」。自分のことを祈ったことはないが、あの人のために祈ってしまう。勝敗が決まる6時までの数分間、ケイトリンは大相撲中継を観ることができない…横綱・朝青龍の大ファンなのである。

中学一年生のころから、相撲が好きだった。歴史の本ばかり読んでいたケイトリンにとって、錦絵から飛び出してきたようなお相撲さんは、特別な存在だったのである。今なら「萌え~」ってとこだろうか。ビックリして、憧れて、恋焦がれるようになってしまったのである。

そのころ巷では光GENJIの全盛期、同級生が本屋さんで『明星』を立ち読みしているとき、ケイトリンは違う場所で挙動不審だった。「スポーツ雑誌コーナー」で右往左往しながら、『VAN VAN 相撲界』と『大相撲』、どちらを買おうか、真剣に悩んでいたのだった。

当時の相撲界は“千代の富士人気”で盛り上がっていて、ケイトリンも心から千代の富士にシビれていた。でも、奥さんどころか赤ん坊までいることが判明したので、子供ながらに“ほかのお相撲さんでもいいや。おかみさんになろう”って決心したのである。どのくらい真剣だったかって? カウンセリングルームに行って「先生、あたし、お相撲さんの奥さんになりたいんです~」って泣き伏してた!(笑)。先生が何て答えてくれたのか、さっぱり記憶にないけど、多分ケイトリンは“要注意生徒”として記憶されただろう。

相撲は、本当にいい。勝敗が簡潔だし、仕切りの間に用事を済ますこともできるし、何よりヒイキのお相撲さんを決めるのが楽しい。個々の取り口はもちろん、顔つきや体つき、髷(まげ)の結い方まで判断材料にして、ヒイキを選ぶのだ。

朝青龍は、そんなケイトリン規格に見事に合格したお相撲さん。いろいろ悪いことをしているが、それを差し引いても素晴らしい関取だ。体つきの美しさ(とくに“”に注目! プリンと上向きに張っててスンバラシイ)、髷(まげ)のバランスの良さ(毛量が多くてゴン太いのはダサい)…“相撲取りとして”のルックスが抜群。

そして、“横綱らしくない”って言われる気迫と負けん気もいいじゃないの! (負ければもっと叩かれるんだから、とにかく勝つしかない)。「自分は横綱ですが、必死にやって勝ってるんです。だからこんな取り口にもなってしまうんです」とは言えないだろうけど、つまりそういうことなのだ。

では、朝青龍の最大の魅力って何かっていうと、“華がある”ことだろう。イヤな奴って思っていても、満面の笑みを向けられれば、何となくファンになってしまうような…明るさがある。実に主観的で、感覚的な要素だけど、ココを感じている人は多いんじゃないかな。

おっ、今日は全然オットーが登場していない。オットーはケイトリンが応援してるからっていう理由で、朝青龍が負けると喜んでみせるような、イヤ~な奴である。だからケイトリンも、“目には目を、歯には歯を”を実践! オットーごひいきの普天王が負けたときは、大喜びすることにしているのである。

のんびりした日曜日、5時くらいから「そろそろいい取り組みが始まるでしょ」って言いながら、ビールを片手にテレビの前に座る…“大人には大人の相撲の楽しみ方があったんだね”って、中学生のケイトリンに教えてあげたくなる今日この頃である。

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ケイトリン、“ドミニク”に改名の危機!

ケイトリンが、「ミス・マープル」(アガサ・クリスティー原作)のテレビ版を観ていたときのこと。読書中のオットーが、ふと画面のエンド・クレジットに目をやった。しばらく出演者の名前を凝視していたかと思うと、急にこんなことを言ったのである。

「よし! 君は今日からドミニクね」。

リメンバー、オットー!! I am ケイトリン! NOT ドミニク!!  ドミグラスソースがかかったおニクの略でもないし、髪をアミアミにした太ったジャマイカ女性でもないっ!…以上を要約し、ケイトリンは猛抗議した。

「いやいや。『コブラ』でさ、魅力的な女性だったんだよ。ドミニクは」。

…『コブラ』! ちょっとだけ知ってるぞ。宇宙海賊の漫画だよね。筋肉ムキムキで赤いボディースーツみたいの着てて、葉巻をくわえる色男が主人公のコブラだ。オットーがあこがれる漢(おとこ)のひとりだったような…。ケイトリン、ちょっと機嫌を直す。

「じゃあさ、ドミニクってどんな女性なわけ?」。「ん~。何だったっけかなー。忘れちゃったな~」…オットーよ。ツマ=ドミニク=太ったジャマイカン説を完全に払拭してくれ! 「でもまあ、オットーは魅力的なドミニクが好きなんでしょ?」(…最後通牒です)。

「いや。俺はレディーが好き」。「なんじゃらほい!! じゃあ、あたしはレディーが良かったな! ドミニクじゃなくって!!」。

怒ってても寂しいだけなので、調べてみた。レディーはコブラの相棒で、言うなれば映画「トゥームレイダー」に出ていたアンジェリーナ・ジョリーみたいな強靭な女キャラ。ドミニクは、銀河パトロールをする有能な大尉だって。イイじゃん!って思ってたら、続きが。“強烈に露出度が高く、コブラとはオフを楽しむ仲(?)。最後、背中の刺青をはがされるが、生死は不明”。…魅力的なんだかそうじゃないんだか、ミステリアス過ぎてちっとも分かりません。オットー、やっぱあたし、レディーがいい…。じゃなくて、ケイトリンのままでいいや。

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君はビーツに耐えられるか!?

ボルシチを作るときに必ず必要なのは、ビーツ(赤カブ)。“食べる輸血”って言われるくらい栄養素が豊富で、肝臓を保護する成分が多量に含まれているスグレものである。2年前、肝臓に卵大の腫瘍をこしらえたケイトリンは、手術にむけて「ビーツの水煮缶」を10缶購入した。

産地はアメリカ! ロシアじゃない。缶切りでギリギリ開けると、濃いショッキングピンクの水がにじみ出してきた。ひと缶に10個くらい小さな球根が入っているので、ひところ口にほうり込んでみたが…マッズーイ!! 気味の悪い甘しょっぱさが、ジワ~ンと渋いような苦いようなイヤな風味を包み込み、とにかくマズイとしか言いようがない。“何に似てる?”って聞かれたら、“ビーツの味は、唯一無二”って答えるしかない。「世界でいちばんマズイ食い物」…これは美食家ならぬ、過食家・オットーの弁である。

で、今我が家のビーツ所蔵量はというと、残り3缶である。なんだかんだいって7缶消費したんだねーと、感慨深く思いつつ、今日はグラッシュ(粉末パプリカをたっぷり入れたハンガリーの肉スープ。日本の味噌汁みたいな位置付け)に一缶投入した。細かい千切りにして3時間煮込んだから、原型をとどめていない。“これならオットーも気づくまい”…溶岩のような色をしたスープをかき混ぜながら、思わずニヤリとしてしまった。

「オットー。今日は好評のグラッシュだよ」。「えっと、何だっけ?」、「ハンガリーのシチューだよ」。(鍋をのぞきこんで)「これもシチューって言うんだ?」、「はぁ? シチューっつーのは“煮込み”のことだから、デミグラで真っ黒なやつばっかしじゃないの!」。「うちのシチューは白かったな~」。このチグハグな会話! ケイトリンが意地悪いのか、はたまたオットーの勘が悪いのか…。

少なくともビーツ探知に関しては、アテにならないオットーだった。っていうのも、子羊の骨付きモモ肉にかぶりついていて、汁の成分なんて関係なかったからだった。“「今さらビーツが入ってますよ」なんていっても、ちっとも楽しくない”…今日は意地悪しないことに決めたケイトリンであった。それと、たまには白いシチュー、つまりクリームシチューも作ってあげなければいけないね。

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失われぬロマンチシズム ~オットーの真価~

春来たる 新しいシャツ オットーに」…ふふふ、文頭からキマってしまった。ケイトリンは、多少寒くても、やせ我慢しても、いち早く春服に切り替えたいって思うタイプだ。オットーも、これには異論を唱えないので大変助かっている。一年中、“肉ジャン”着用でポカポカだから、まったく問題ないみたい。

昨晩、洗いざらしのシャツを捨てる作業をしていたときのこと。ベッドに入って本に没頭するオットーに「これはどうする?」、「もうこれは2年は着てないんじゃない?」って話しかけながら選別していた。ケイトリンは思い切りがいいほうだけど、オットーは“破れてなければ、まだイケる”って感じなので、全然捨てられない。悪いことに、気に入ったヤツほど繰り返し着てるから、ボロいものほど残ってしまうんだよね。

「じゃ、このJ.Crewの麻のシャツは捨てるよ」。水色のラインが細かい格子になっている、優しい風合いのシャツで、オットーがとっても気に入ってるのは知ってる。でも、古くなった麻のヨレヨレ感は何とも言えず貧乏臭くみえるからね…。押し問答の末、捨てる許可をもらったときはホッとしたが、初めて本から目を上げて、オットーは言った。

このシャツ、君とデートするから買ったんだよ」。「うそー?」。「ホントだよ。立川のデパートで買ったんだもん」…ケイトリンはある光景を思い出した。5年前、ふたりで初めての旅行をしたときのこと。季節は5月で汗ばむ陽気、ケイトリンは半袖のポロシャツで待ち合わせの場所に立っていた。向こうから走ってくるオットーが、思い出にインパクトを残した一光景。「おおっ!?」、目をパチクリさせてしまったのだった。

明るいオレンジ色の、古着屋系のTシャツを着、その上に羽織っていたのが例のシャツ。シワシワで、Tシャツと全然合ってなかったから、「ヘンだよ」って言った記憶がある。「でも、着たかったんだよ」…オットーは、そう答えていたっけ。今よりも随分若くて、ヒゲもなかった。初めての旅行で、らしくもなくノリノリだったかもしれない…何だかとってもオットーが愛おしくなった。

ケイトリンは思う。女のほうがロマンチストだなんて、大間違いだ。確かに思い出や記念日に甘美なものは感じるけれど、それに寄り添う即物的なものに、どんどん侵食されていってしまう。“少女時代はそうじゃなかったのに”…ケイトリンは時々、オットーの失われないロマンチシズムに驚き、羨望するのだった。

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シーズーの犬舎訪問

昨日は、シーズーの犬舎「ベルフレンド」(東京都中野区・新井薬師)に出かけた。ケイトリンのパパとママに、仔犬をプレゼントするための下見なのだ。希望は「誰にでもシッポを振るんじゃなくて、家族だけになついてくれる穏やかなオス。毛色は真っ黒じゃなければ、何でもよし」。店長さんに、いろいろと話を聞いてきた。

まず、“仔犬の性格は、ある程度分かるもんなんですか?”。「1歳くらいまでは、みんなやんちゃですよ。でも、お母さんが大人しいと、仔犬も穏やかな性格になりますね」。そっか、じゃあ、大人しいお母さんの子供にしよう。“母犬がいつ子供を産むかって、分かるんですか?”。「メスによって発情するサイクルがあるんですよ。発情するとコロンをお腹を出して切なそうな体勢になります。そうしたら交配させるんですが、シーズーは体が小さいので、人間が手伝ってあげなくてはなりません」。“交配したら、どのくらいの確率で子供ができるんですか?”。「だいたいできるんですよ」。そうなの!? 「でも、この子はできなかったんだよねえ~」。(ホワイト×ブラックの母犬に話しかける店長さん。オットーはこの母犬がスゴク気に入っちゃってた。シーズーって斜視の子が多いんだけど、良い血統なので、すごく可愛い顔してるんだよね)。

“オスとメスって、どっちが人気があるんですか?”。「メスですね。性格が穏やかなのと、ちゃんと座ってオシッコしてくれますから」。オスは電信柱に片足上げて、チャーッとひっかけるもんね。流れたオシッコがふわふわの毛にくっ付いて、臭くなっちゃうのだ。「でもオスも、電信柱に近づけないとか気をつけて訓練すれば、座ってしてくれるようになりますよ」。(ここでオットー、複雑な顔になる。本能を曲げて、座りおしょんしょんさせられるオスの気持ちをよく知っているからだ)。

“産まれる前から仔犬の選択順の予約をしとかないといけないって聞きますけど?”。「あ、それはメスの場合ですね。オスをご希望の場合は大丈夫です」。ホント、オスって人気ないんだ。ケイトリン的には、メスは1年に1回の長い生理(2、3カ月続く)があるから、大変そうな気がするんだけどね。そういえば、オットーの実家の白い柴犬の女の子は、その時期におむつをして走り回ってるなあ…。

“いつ頃、仔犬を受け渡してもらえるんですか?”。「うちは2カ月からですが、ワクチンが3回終わらないとお散歩はできません。バイ菌に弱いんです」。っつーことは、もしかしていちばん可愛い時期に一緒にいられないのでは…。「お年寄りのご家庭なんかでは、この子みたいにちょっと大きくなった子のほうが安心でいいっていう場合もありますよ」。ちょうどこの日は、4ヶ月と45日の子がいたので大きさを比較。オットーもケイトリンも“4ヶ月のほうが、シーズーらしくて抜群に可愛い”って思ったけど、赤ちゃん犬の醍醐味も捨てがたいよな~。まあ、写真をご覧下さい。ちなみに45日は意外に大人しくてモコモコ動くだけで、ほとんどピャーピャー言わない。4ヶ月は歯がかゆいから人の指をカプカプするし、ジャンピングにシッポフリフリで、大騒ぎしていた。P1000618_edited

P1000615_edited 3月末に大人しいお母さん犬が発情するのを待つことにして、30匹のシーズーとお別れして帰ってきたけど、今、書いているのは遠い日の思い出のような気がしてしまう。というのも、大好きなシーズーをあんまりたくさん目撃してしまったので、興奮の極地を超えてプッツン!…凡庸な記憶に変わってしまったからなのだ。オットーはかなり明確な感想を述べていたけど、相変わらずのストレートな発想に大笑い…「部屋が犬臭かった。チャンピオン犬がおしゃれをしてなかったので、すっぴんの女優みたいだった」。確かにごもっとも!!

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理屈じゃないのヨ ~「カツ丼」礼賛~

今晩は実家に帰らせていただいております! オットーと喧嘩したんじゃなくて、週に一度はお炊事&息抜きに戻ってるんです。

オットーの今日の晩ご飯は、オムライス。薄焼き玉子でくるまれた黄色の丘は、オットーの一日の終わりを幸福にしてくれるに違いない。付き合い始めのころ、「好きな食べ物は?」と聞いたケイトリンに、「肉と玉子と飯」と言ったくらいだから、その3種類が含まれるメニューは無条件で好きなわけだ。

では、コレならどうか。「親子丼とオムライスは、どっちが“勝ち”?」。大家族に育ったオットーは“炭水化物と脂質”を何より重要視する。生きるために必要なエネルギーだからだ。“ドッチが肉、玉子、飯を効率よく含んでいるか”、“でも、どっちもウマイんだよなー”、“何で、目の前にない好物のコト、こんなに考えてるんだよう、オレ”…苦悩の色が浮かべたオットーが下した決断は「オムライスの勝ち」。理由は、「ウマイから」。親子丼もウマイが、この場合、仕方がないらしい。

むむっ、ではコレならどうか。「オムライスとカレー、どっちが勝ち?」。“カレーには玉子が含まれていない。当然、オムライスの勝ちだろう”…ケイトリンはこう分析したが、そう時間をおかずにオットーは答えた。「カレーだね」。理由は、「カレーは1週間以上、食えるから」。オムライスは常習性において、敗北したのである。恐るべし、カレー…スパイスの魔術であろうか。

最後の質問には慎重を要した。「じゃあさ、カツ丼とカレーはどっちが勝つわけ?」…オットーにとって、究極の選択であったらしい。“カレーはウマイ。ただ、ウマイのだ。でもカツ丼はどうだ。やわらかく煮えた玉ねぎに甘いダシ汁、とろり玉子が分厚いトンカツにからまって…死ぬほど好き”。熟考の末、軍配はカツ丼に上がったのである。

カツ丼の勝因はなんだったのだろうか。ランダムにコメントを記してみよう。「だってさ、肉ってそのままでもウマイのに、揚げて、コロモで旨みを閉じこめてるんだよ?。そりゃ、ウマイさ」。「コロモが汁を吸っててヘチャってしてても、サクッとしてても、ドッチもウマイんだよ」。「理屈じゃない」。「カレーは毎日食って旨いけど、カツ丼はよだれが出てくるんだよね。そういう感じ」。…“カツ丼のように想われたい”…女なら誰もがこんな風に、情熱的に愛されてみたいものである。

ちなみにケイトリンの三大必要素は、「酒、刺身、味噌汁」なので、オットーとは一切かぶらない。ふたりで飲み屋に行けば、実にバラエティーに富んだ食事ができるわけですヨ。

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アインシュタイン撮影! 墓場のアベック

“トレンチコートは、さすがに寒い~”。春なのに北風が吹きすさぶ中、ファラウェイ・マウンテン家の法事は開かれた。某都営霊園でお経をあげてもらうのは、オットーのグランパとグランマの供養で、ファミリーはプルプルふるえながら、手を合わせていたのである。

20分くらいで焼香まで終わって、“さあ、写真撮影!”ってなったとき、予期せぬ事件が発生した。ファミリーの前でデジカメのファインダーをのぞいたケイトリンが、とても神々しいものを発見したのである。安らかなグランパ&グランマの魂…じゃなくて、輝くパーパ・オットー(オットーのパパ)の姿である。

「あ、あなたはアインシュタイン博士!?」…風にあおられて爆発した絹のような白髪、パーパ・オットーの頭部全体が陽射しと同化していたのだった。オットーは「ウン、あれはね、後光なんだよ」とのたまわっていたが、「観音様か、アインシュタインか?」ってったら、“間違いなく偉大なる博士”の姿だったとケイトリンは思う。

次なる事件は、オットー&ケイトリンの身に起きた。「ケイトリン、オットーと写真を撮ってあげるわよ」。優しいマーマリン・オットー(オットーのママ)の提案だった。お墓の前にふたりを並ばせ、パーパ・オットーがカメラを構えた瞬間、「ヤッダー!すっごくおかしい!!笑っちゃうワ~!!」、「ええっ!?」…信じられなかったが、発言者はマーマリン・オットー。腹の底から楽しそうに笑っている。「だって、だって、昼日中から若いアベックがお墓の前でっ、ね~!」。

非常に、不本意。不本意である。もともと写真嫌いで憮然とするオットーに、サービス精神満点なケイトリンが腕をからませ、にっこり笑ったんだよ。お墓の前で…この努力をかってもらえるはずだったのに! 爆笑するファミリーは、ウッド・ペッカーばりに口をとがらかせていたオットーに気づいていただろうか。とにもかくにも、オットーのグランパ、グランマ、こんな愚かで愛すべきファミリーを、永くお守り下さい…。

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ラララライな小学生、そしてオットー

オットーを含め、“お笑い”好きの人が周りに多いことに気づいた。芸人寸評をするような、こだわり派ってわけじゃない。家に誰か来ると、「ダウンタウンのごっつええ感じ」の昔のDVDを流して、スナック菓子を食いつつコーラを飲むのが、たまらなく好きってタイプの人たちだ。

昨日は珍しく0時前に帰ってきたオットー、ゴールデンタイムに進出するお笑い番組を観ていた。“10人以上の子供にウケた芸人のみ、レギュラー決定”っていう企画モノで、ケイトリンはご飯の仕度をしながら、音だけ聞いてたのである。

ずっと静かだったのに、ある芸人が登場すると、オットーは大ウケし始めた。「藤崎マーケット」の出番である。「うっはー! コイツら本当、オモロいな~」。「えー、そんなに面白いの?」…ケイトリンが画面をのぞくと、小学生が総立ちでラララライ体操(って言うんだっけ?)をしているではないか。腹を抱えて笑うオットー、狂喜乱舞している子供たち…白髪の量を除けば、精神年齢は変わらないのを、ツマは確信したのである。

オットーのお笑い好きには、いつもある傾向がみられる。「命(イノチ)!」「ゲッツ!」、「何でだろう~」、「そんなのカンケーねぇ!」など“見てくれ”で子供ウケする芸、しかも一発芸ばかりを、ちょっと流行らなくなってから、やり始めるのである。それもなぜか、ケイトリンの気が立っているときとか、忙しいときに実演してみせる場合が多い。不思議、摩訶(まか)不思議である。

「ラララライ!」も、今はレパートリーに入ったばかりなんで、当分やるんだろうなー。ケイトリンもそれに反撃したいところだけど、何がいいかしら…。お笑い好きな友達に聞いてみることにしよう。ちなみにオットーは「世界のナベアツ」にも激ウケしてましたとさ。

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明け方のファンタジア ~ポメぞう編~

オットー&ケイトリンは、高層階に住んでいる。周りに同じ高さの建物がないから、町がよく見渡せる。灰色の道が、地図のように枝分かれして、いつも通る道がこんな角度で曲がっているんだって分かる。ふたりの大好きな時間は、明け方。暗い夜空に、朝日の明るさが染み出してきて、群青色になる時。ビルの表面が虹色に輝いて、今日も華々しい朝がやってくるのだ。

上空の美しい変化をよそに、下界はまだ薄暗い。ありんこのような人も見つからないけど、しばらく眺めていると、今日も来た! 小さな、小さな、犬ころが。せっせこ歩く姿が弾んでいる。“お散歩大好き、楽しいな~”と。喜びがコロコロと道を行く。よく見ると、小さな犬じゃなくて、ゴールデンレトリバーだから笑っちゃうけど。

ベランダから、オットーが見つけて、ケイトリンもファンになった犬ころがいる。おばあさんの連れたポメラニアンだ。13歳のオスで、名前は「ポメぞう」。一度聞いたんだけど、本当の名前は忘れちゃったので、こんなふざけたあだ名で呼んでいる。

Photo_4「ポメぞう」は歯が悪いから、いつもベロを出しっぱなしで、愛嬌を振りまいている。一般的なふわふわな外見ではなくて、柴犬みたいなカットなのも、チャームポイントだろう。おばあさんが可愛がるのも分かるけど、それにしても歩いている姿を見たことがない。いつも抱っこされているばかりなのだ。オットーは「あれは、ポメぞうが、おばあさんを散歩させているんだよ」と言う。なるほど、そうかもしれない。

昨日の朝、そろそろベッドに入ろうかなとコタツの電源を切っていると、オットーが「ケイトリン、見て見て! ポメぞうが!!」と叫んだ。ベランダサンダルを履くのももどかしく、下に目を凝らすと、ホントだ。ヤツが歩いているじゃないか!

てこっ、てこっ…”、擬音にすればこんな感じかな。他の犬がせっせこ嬉しそうに歩くのに比べて、小さな足の歩みはゆっくりで重い。おじいちゃんだもの、仕方がないか。その後ろをおばあさんがのんびり付いていってたけど、ちょっと目をそらしたスキに一匹とひとりは消えてしまった。

「あれ、おかしいなあ」…見失うような場所じゃなし、オットーは不思議がっている。そこで最近、ダークファンタジーに夢中のケイトリンはこんな意見を述べてみた。「明け方は夜と朝の狭間で、空間がちょっと不安定なんだよ。だから、ポメぞうとおばあさんはちょっとしたスキマに入っちゃったんだよ」。

ここでどんな返しをするのか。国文科出身のオットーに期待してみたものの…。「ウンコしてんだよ。木の陰に入ってウンコ」。オットー&ケイトリンの明け方のファンタジアは、ものの見事に瓦解したのでありました。

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寂しくて不潔になるオトコの話

新宿3丁目の「呑者家」(どんじゃか)で、アキ・オットーとワイワイ飲んで、楽しかった。アキ・オットーは、ファラウェイ・マウンテン夫妻の朋友で、酒場にいるとき、「あいつ、最近どうしてるかな。飲みたいな」といつも話題に上るような、イイ奴である。

いつものようにすんごい飲んで食べて、さあお会計ってときのこと。オットーもケイトリンもお財布のなかが小銭だけだったので、愕然(がくぜん)としてしまった。アキ・オットーは「いいよ、いいよ。また今度で」って払ってくれたけど、その後なぜかチャーハン屋に消えていくバカ夫婦を見て、酔いも覚め果てたんじゃなかろうか。ごめんよ、アキ・オットー。銀行に振り込むからね。

で、すっかり酔っ払う前のこと。先に到着したオットーとケイトリンは、馬刺しで一杯始めていたのだった。オットーから「そろそろホワイトデーだね」なんて話が出たんで、“そういえば、今年も恒例のホワイトデーカウントダウンしなくちゃな”と思い出した。「はい、今日は3日前でーす。覚えてる?」、「さあ、2日前ですよ。準備は万端かな?」、「いよいよ、1日前です。あと24時間しかありませんよ~。忠告はしたから…ね」…とことん、愛に見返りを求めるケイトリンである。

生ビールを一杯飲んだ頃だったか、ツマは急に質問したくなった。「オットー、ケイトリンが先に死んだら、どうなる?」。ケイトリンの場合は、ひとり残されたら、間違いなくアル中になるな、って話した。飲み屋のざわめきがふっと遠のき、ふたりの世界がクローズアップされる。ジョッキを握る手に力が入り、タバコの煙がゆらぎながら消えていく…。しばし時は過ぎた。そして、オットーは答えた。

そうねえー。著(いちじる)しく、不潔になるだろうなあ」…。何にも分かってない。このオトコ、何にも分かってないのである。オットーに先立たれたら、ケイトリンは寂しい。だから、酒に溺れてアル中になるって話をしたのである。でもオットーは、ケイトリンがいなくなったら、“寂しくて不潔になっちゃう”って話しているのである。

絶句しているケイトリンを見て、そういうことじゃなかった!と気づいたオットーはあわてて訂正した。「ストレスで食い過ぎて、スゲー太ると思う」。最初にその答えを聞きたかったよ、オットー。残念ながら、ツマの頭の中は、スパイシーな臭いをさせてる夫の姿しか浮かばなくなりました。…死ねない。こんなんじゃ死ねない。オットー、あたしアナタよりも長生きしてみせる!!

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